FX相場では自分以外の投資家の予想というのを予想しなければ勝てない

相場が大きく動くときというのは、トレーダーにとって格好のチャンスです。FXではポジションを持った時の為替レートと、ポジションを手放すときの為替レートの差で利益を得られるため、値動きが大きい指標発表時は大きなチャンスとなります。もちろん、値動きが大きいということは、その分損失も大きくなってしまうことを意味します。私の場合も指標発表直後にチャンスと思いエントリーしたら、大きな損失を抱えてしまったということが何度かありました。なぜ、私が勝てなかったのか、考えられる理由はとしては以下の2つがあります。

①エントリーポイントが甘かった。
指標でのスキャルピングは2つの方法があります。ひとつは大きく値動きしたところを、反対方向にエントリーする逆張り。もうひとつは、一度値戻しがあったときに押し目を狙う順張り。この2つのエントリーポイントを見誤ったということが敗因と言えます。チャートから、重要ポイントにラインを引くことや、フィボナッチ指数などを確認しておくことを怠ったことが負けにつながってしまったのです。

②指標から今後どういった値動きをするのか予想できなかった。

指標では、前回の結果、予想、結果が表示されます。例えば、ドル円でのエントリーを考えている場合に、アメリカの雇用統計の結果がとても良かったとします。普通に考えればドル円相場は、円安、ドル高方向に値上がりしていくと予想されます。しかしながら、指標発表前にそのことが予想されていた場合、あまり値上がりしないことがあります。それどころか、雇用統計の結果は良かったものの、予想ほど良くなければ、値下がりすることも多々あります。

FX相場では、自分以外の投資家の予想というのを予想しなければ値動きを予測することは難しくなります。相場は大衆の心理で動くことを心得ておかなければなりません。さて、これらの敗因を踏まえて、どうすれば指標トレードで勝てるのかを考えていきましょう。

どんな経済指標があるか

はじめに考えるべきことはどの指標を狙っていくかということです。もちろん、スキャルピングという数分~数十分で決済してしまうトレードの場合、できるだけ値動きが大きい方が利益も大きくなることは言うまでもありません。一般的に値動きが大きくなるものは、欧州やアメリカの指標です。中でも毎月第一金曜日に発表される雇用統計は大きく為替レートが動くことで知られ、FXの一大イベントとなっています。

さて、経済指標とはどんなものがあるのでしょうか。各FX会社の取引ツールでは各指標の重要度が書かれているため、それをチェックしてみると良いでしょう。代表的な指標を紹介します。

・米非農業日門雇用者数(雇用統計)
・米FOMC政策金利発表
・米貿易収支
・米住宅着工件数
・欧ECB政策金利発表
・日日銀金融政策決定会合議事要旨
・中国製造業PMI

これらが発表されると大きな値動きが起こる可能性が高くなります。ちなみに日本のFX会社では、日本に関する指標の重要度が高く書かれている傾向にありますが、実際には日本の指標はあまり大きな相場の変化をもたらさないので、留意が必要です。

経済指標スキャルピング手法の実際のトレード

それでは、チャートを見ながら実際の取引について説明していこうと思います。今回は2017年10月5日(水)の21時30分の米貿易収支、新規失業保険申請件数、新規保険継続受給者数発表時のチャートを見ていこうと思います。

FX経済指標スキャルピング手法1

画像はドル円1分足のチャートです。経済指標が発表された21時30分の地点に黒色で縦のラインを引きました。まず3つの指標の結果はどういうものであったかということを見ていくと、どれも前回よりも良い結果が出ています。アメリカにとって良い影響、すなわち米ドルを強くする要因が表れていると言えます。

この結果を受けて21時30分から数分の間に、円安・ドル高方向に7銭ほど値動きしました。しかしその後、再び指標前の水準まで値戻りし、もみ合っている状況です。もみ合っている理由としては、すでに相場によい結果が織り込み済みであったことを意味します。画像の下部を見てみましょう。貿易収支と新規失業保険申請件数で前回の結果よりも予想の結果が良い結果となっています。すでに良い結果というのは予想されていたため、大きくドル高になることはなく、もみ合っていると考えられます。

FX経済指標スキャルピング手法2

さて、指標発表時にスキャルピングを行うとき場合、取るべき手法は順張りと逆張りの2種類です。逆張りでは、指標発表後の急速な値動きに対して、値動きした方向と反対にエントリーします。画像では緑色で囲った箇所です。大きく値動きして、これ以上同じ方向に行かないだろうというタイミングで、エントリーします。そうすれば1時的にリバウンドのような形で値戻しがあり、利益が出ます。指標時の逆張りでは利益確定の決済、損失確定の決済ともに、素早く行うようにします。予想と反対方向に大きく値動きしてしまうかも知れないので要注意です。

一方、順張りで狙うときは、指標発表時に一方的に値動きがあった後、少し落ち着いた箇所です。画像では、円安ドル高が一段落した場所、オレンジ色で丸を付けた地点です。今回は、印を付けた地点から円安ドル高方向に高値更新することはありませんでしたが、
ここが押し目買いのポイントと判断できます。順張りの決済は、利益確定の場合、ある程度長くポジションを長く持っていてもよいでしょう。指標の内容によっては、数日間値上がりすることもあります。一方、損切は素早く行うように徹底しましょう。

経済指標スキャルピング手法の注意点

指標発表後は様々な投資家の思惑が交錯します。そのため上下に激しく値動きすることも少なくありません。複雑な値動きから予想するのが困難なことも多くあります。そういうときは、トレードをしないという選択を取ることも大切です。投資はギャンブルではありません。ギャンブル性が高いものは、投機と呼ばれ、投資と区別されます。現在の資産を使って、将来の資産を増やすこと、これが投資の本質なのです。そのことをよく頭に刻んでおけば、ギャンブルのようなトレードは減るはずです。また、指標発表時はスプレッドが広くなることがほとんどです。普段はスプレッド0.3pipsほどのドル円でも、数pips~数10pipsまで広がることも珍しくありません。できればスプレッド3pips以内でエントリーした方がよいでしょう。

さらに、必ず逆指値注文を入れておくことをお勧めします。逆指値注文とはエントリーした予想とは反対方向に動いたときに、このレートで決済するという内容の事前注文のことです。成行き注文の場合だと、自分の裁量で決済することになるため、なかなか損切の判断ができず、大きな損失につながる恐れが高くなります。現在ほとんどのFX業者でエントリーと同時に、逆指値注文を入れられるようになっているので、是非この機能を使ってみましょう。

繰り返しになりますが、投資で勝ち続けるには大きな損失を出さないことが必須となります。指標でのトレードは急な値動きが起こるため、大きな損失を出してしまう恐れが普段よりも高くなります。自分のトレード手腕を考慮して、この環境ならある程度は値動きが読めるという状況でのみ取引を行うことをお勧めします。

もっとも指標スキャルピングに適した環境は、指標発表後にどちらか一方向に値動きするときです。そして、チャート上の重要なポイント付近に差し掛かったら、エントリーします。数秒~数分後、利益が乗ったところで利益確定の決済をします。この取引パターンができると判断したときにのみ、行うようにすればグッと勝率が上がってくるはずです。トレードを回避するべき時も多いため、長期的な視点で利益を生み出していこうとする姿勢が大切なのではないでしょうか。