ケルトナーチャネルは、アメリカ・シカゴのトレーダー、ケルトナー氏によって開発されたテクニカル指標です。ケルトナーチャネルでは移動平均線に基づき、上下にチャネルラインが引かれます。一般的には、チャネルラインを飛び出したらトレンドフォローするという使い方がされます。はじめにケルトナーチャネルはどのように導き出されるのか、計算式を見ておきましょう。

ケルトナーチャネルの計算式

ケルトナーチャネルでは3本の線が表示されます。

中間線:10日間の移動平均値
ハイバンド:中間線+値幅平均値
ローバンド:中間線-値幅平均値

※値幅平均値 高値と安値の差の10日間の移動平均値

これらの計算で表示されるケルトナーチャネルと、ローソク足の位置関係によって、トレンドの発生、トレンドの方向、エントリー、決済のポイントを探していくことになります。

ケルトナーチャネルを使って相場を判断

ケルトナーチャネルはレンジ相場でもトレンド相場でも使うことができます。しかし一般的には他のトレンド系指標と同じように、トレンド相場で有効と言われています。

トレンド相場が発生しているとき、ケルトナーチャネルはどのような形状になっているのかチャートで確認しておきましょう。

ケルトナーチャネル1

チャートはドル円1時間足です。これを見ると上昇トレンドが発生していることが確認できます。ケルトナーチャネルとローソク足の位置関係を見ると、上昇トレンドが発生しているとき、中間線よりも上にローソク足があることが確認できます。

また一部を除いて、アッパーバンドを沿うようにローソク足が移動していることが分かります。

上昇トレンドでケルトナーチャネルに対するローソク足の位置関係の特徴をまとめると以下の2通りです。

1 中間線よりも上にある。
2 アッパーバンドに沿うように動く

下降トレンドでは反対に以下のようになります。

1中間線よりも下にある
2ローバンドに沿うように動く

エントリーポイント

さて、それではケルトナーチャネルを使った取引例を見ていきます。取引は相場の判断→エントリーポイントを探す→エントリーする→決済する、という順で行われます。

まずはエントリーポイントについて説明しておきます。トレンド相場でのエントリーポイントはいくつかあり、トレンドの転換点、トレンドが勢いづいた場所、押し目・戻り目です。

この3つのエントリーポイントについて、ケルトナーチャネルを表示させたチャートを用いて紹介していきます。

1トレンドの転換点

ケルトナーチャネル2

上のチャートはドル円1時間足です。さきほどのケルトナーチャネルを使った相場の判断によれば、相場は下降トレンド→上昇トレンド→下降トレンドの順で推移していることが分かります。

そして黄緑色で囲った2か所でトレンドの転換が起こっていることが確認できます。それぞれ特徴を見ていきましょう。

左側の黄緑色の丸印では下降トレンドから上昇トレンドへの転換点と読み取ることができます。ここがエントリーポイントになります。

少し細かく見ていくと、それまでローバンド付近にあったローソク足が上に移動して中間線に近づいています。中間線を超えると、ハイバンドに向かって値動きが進んでいきます。
中間線を越えたのを確認したらエントリーします。

反対に右側の黄緑色の丸印の箇所では上昇トレンドから下降トレンドへの転換点がエントリーポイントになります。それまでハイバンド付近にあったローソク足が下に移動して中間線に近づいていきます。その後、中間線を越えた箇所でエントリーします。

2 トレンドの勢いが付いた場所

ケルトナーチャネル3

トレンドの勢いが付いた場所ではハイバンドあるいはローバンドを沿うように値動きする特徴があります。それぞれ下降トレンド、上昇トレンドともに、黄緑色で丸を付けた箇所でこれらの動きが見られます。

ただし、一番右、一番左の黄緑色の箇所では、エントリー後含み損を抱えることになるので、要注意です。よっぽど強いトレンドと判断できる箇所のみでエントリーすると、より精度の高い取引ができるでしょう。

この4つの中でより強いトレンドが発生しているのは、唯一の上昇トレンド、左から3番目の緑色で丸印を付けた箇所です。

なぜそう判断できるかと言えば、ローソク足がバンドを抜け続けているからです。より強いトレンドが発生していると判断できるのです。ほかにもローソク足をバンドが抜けている個所はありますが、一時的なものに過ぎないので注意しましょう。

3. 押し目・戻り目

ケルトナーチャネル4

トレンド相場は1方向にレートが進んでいく相場ですが、その中で波を打つように上下しながら値動きするのが特徴です。

上昇トレンドであれば、一時的な値下がり、下降トレンドであれば、一時的な値上がりを踏まえてトレンドを形成します。

その一時的な値下がり、あるいは値上がりから再びトレンド方向にむかって値動きを再開した地点のことを押し目・戻り目と呼びます。

押し目・戻り目には明確な定義はありませんが、ケルトナーチャネルを使ってこれらを判断すると、中間線にタッチ、あるいは少し割り込んでから再び反発したところです。チャートでは黄緑色の場所がそれにあたります。

チャートでは下降トレンドで戻り目を確認することができます。上昇トレンドであれば、ローバンド付近にあったローソク足が、中間線付近まで上昇して、中間線にタッチして再びローバンドへ向けて値動きがあったときがエントリーのポイントです。

決済ポイント

ケルトナーチャネル5

エントリーした後、考えなければならないのが決済です。決済はケルトナーチャネルの中間線、すなわち移動平均線を使ってポイントを探して行きます。

上のチャートのように、上昇トレンドの場合、エントリー後ローソク足が中間線よりも上に来ているはずです。その後、ローソク足が下に落ちるか、上昇の角度が小さくなると、中間線に近づいてきます。中間線を割った黄緑色の丸印の箇所で決済します。

下降トレンドの場合、エントリー後ローソク足は中間線よりも下にあります。その後、ローソク足が中間線に近づいて、中間線を上に抜けたら決済します。

それではなぜこの位置が決済ポイントになるのか考えてみましょう。何度か触れてきましたが、中間線とは移動平均線です。

移動平均線は最も多くの投資家が用いるツールのひとつで、ローソク足と移動平均線が交わるとトレンド転換のサインであるという共通認識があります。

そのため、ローソク足がと移動平均線が交われば、これまでのトレンドと反対に動くという予想のもと、エントリー・決済の取引を行う投資家が多くいるということになります。

決済に関する注意点

決済には利益確定の決済と損失確定の決済があります。もし、エントリーしたものの、予想と反対方向に動いて含み損を抱えてしまった場合、損失を確定させる決済、いわゆる損切を考えなければなりません。

損切が遅れると大きな損失を抱えることにつながりかねないので、損切はなるべく早く行うことが鉄則と言われています。

基本的にはローソク足が中間線を抜けたときを損切決済の目安にすれば良いのですが、もう少し早く決済してもよいでしょう。特にバンド付近でエントリーした場合(エントリーポイント②のケース)ではローソク足が中間線を抜けたときには、けっこう損失を出している場合があります。

何pips損失が出たら決済する、といったようにあらかじめ決めておくという手もあるでしょう。

今回はケルトナーチャネルの使い方について紹介しました。あまり知名度は高くありませんが、移動平均線というオーソドックスなテクニカル指標に基づいたものなので、大衆の動きを読むということに関しては、とても優れた指標と言えるでしょう。

今回トレンド相場におけるエントリーポイントを3つ紹介しましたが、それぞれ試してみて、最も勝てるポイントを探してみてください。そして自分の必勝パターンが見つかれば、トータルで勝てる可能性が高くなるでしょう。