
今回はヨーロッパ市場が動き出す15時以降のトレードに利用できるオーバーレイインジケータについて解説したいと思います。オーバーレイインジケータとは、トレードする通貨ペアのチャート上に、他の通貨ペアのチャートを表示できるものです。
画像はユーロ円のチャート上に、オーバーレイインジケータでユーロドルのチャートを表示させています。通常の色のチャートがユーロ円で、オレンジとグリーンのチャートがオーバーレイで表示させたユーロドルのチャートになります。このオーバーレイインジケータでは同時に2つの通貨ペアの動きを監視でき、2つの通貨ペアの動きを比較できますが、それを実際のトレードにどうやって利用するのでしょうか。
実際にこのオーバーレイインジケータで行うトレードは、ユーロドルとユーロ円の鞘取りトレードと呼ばれるトレード方法になります。鞘取りとは、通常のトレードのように一つの通貨ペアの上昇下降のみでトレードするのではなく、2つの通貨ペアのさや、つまり価格差を利用するトレードの事です。
ユーロドルとユーロ円は、比較的同じような動きをする通貨ペアですが、時々異なった動き(逆の動き)をする時があります。
しかし元々同じ動きをしている通貨ペアのため、その異なった動きは調整されて、元の動きに戻る。
この手法は、離れていた2通貨ペアの価格が戻る特性を利用します。つまり2つの通貨ペアの価格が広がった時に、上にある通貨ペアを売り、下にある通貨ペアをいます。そしてこの2通貨ペアのさや(価格差)がなくなった時に、その価格差分が利益になるという仕組みになります。
またこの方法にはもう一つやり方があり、2通貨ペアの価格差を、ドル円トレードによって行う方法です。
例えばユーロドルが上昇し、ユーロ円が下降した場合、鞘が生じます。この鞘、つまり価格差がなくなることを前提に、鞘が広がった時点で、ユーロドルを売り、ユーロ円を買います。
ユーロドルを売るという事は、ユーロが下がりドルが上がることを期待することになります。さらにユーロ円を買うという事は、ユーロが上がり円が下がることを期待することになります。つまりドル>ユーロ>円という期待関係が成り立つのです。
結果的に最も強い通貨がドル、最も弱い通貨が円となり、ドル円相場は下がるという期待関係が成り立つわけです。つまりユーロドルを売り、ユーロ円を買うというトレードは、ドル円を買うというトレードと同じことになります。最初はわかりにくいかもしれませんが、この関係を理解できてしまえば、ごく当たり前の現象であることが分かると思います。
通常でしたらユーロドルとユーロ円の2通貨ペアをトレードするのですが、2トレード分の証拠金が必要であることと、スプレッドも2トレード分発生しますので、資金が少ない場合は、2通貨ペアでトレードせずに、ドル円のみでのトレードでも可能です。
15時以降になるとヨーロッパ市場が動き始め、ユーロの動きが活発になるので、このような鞘も出来やすくなります。さらに21時以降になると、ニューヨーク市場も動き始めるので、トレードチャンスも増えてきます。
しかしこの方法にも弱点があり、埋まると思っていた鞘が埋まらず、さらに広がってしまった場合です。
そうなりますと2通貨ペア分の損失が発生しますので、含み損が大きくなってしまいます。
そのために、ユーロドルとユーロ円の価格差を感覚だけに頼らずに、他のインジケータを併用して、各通貨ペアが上昇しそうか、もしくは下降に向かいそうかを判断する必要があります。
この鞘取り手法は、通常のトレードのように、「価格が上がるか下がるか」ではなく、「価格差を埋める」つまり「ひずみをなくす」という考え方に基づいたトレード手法ですので、スキャルピングとは違うトレード手法になります。
しかし初心者の方には、リスクが比較的少ない方法になりますので、リスクをあまり取りたくない方にはおすすめです。
ただ勝率が高くなる分、どうしても1回のトレードの利益は小さくなりますので、損切は徹底して行ってください。