
1年間の目標を決めてみる
これまでFXに関する基本的な知識や重要な項目についてお伝えしてきました。「通貨ペア」や「通貨単位」、「スプレッド」や「レバレッジ」、「経済指標」などの情報を分析する「ファンダメンタルズ分析」、「チャート」を分析する「テクニカル分析」、世界経済に重要な影響を与える「FRB」や「FOMC」についても触れてきました。今回はより実践的な部分に踏み込んだ内容をお伝えしていきましょう。FXの取引で、具体的にどのくらいの利益を得ることができるのかという点についてです。もちろん、これはトレーダーによってまったく異なりますね。
FXの取引を始めるのであれば、皆さんにも何かしらの目的はあるはずです。まずは、それを明確にしていきます。そしてどうすればそれが実現可能になるのかを考えていきましょう。これは、すでに経年のトレーダーの皆さんにとっては当たり前のお話になりますが、FX初心者にとっては今後の成功に繋がる大切な内容です。それが「目標設定」というものです。
夢というものは具体的であればあるほど叶えやすくなります。例え夢があっても、それが漠然としたものであればいつまでたっても実現しませんし、近づいていくこともできません。夢を実現するために「何をすべきか」が曖昧になってしまうからです。ということで、「目標設定」の重要性や、具体的なその内容についてお伝えしていきましょう。今回は「1年間の目標」に注目して、お話を進めていきます。
資金があるほどリスクは少なくなる
「できるだけ稼ぎたい」。気持ちはよくわかりますが、これでは具体的ではありませんね。「1億円ほど稼ぎたい」。先ほどよりもより具体的になっています。やはり数字を示すことで、目標はより具体的になるのです。しかし、FXの取引で確実に成功させたいのであれば、これではまだまだ不十分です。そもそも「資金」(種金とも呼びます)はどのくらい用意できるでしょうか。このスタート地点によって話は大きく変わってきます。
例えば、「100万円を稼ぎたい」として、資金が1億円ある人と、資金が10万円しかない人では、突破しなければならないハードルがまったく異なるのです。1億円の資金があるのであれば、1%増やすだけで100万円の利益を出すことができます。為替相場で「トレンド」を見抜いた瞬間だけ取引すれば、1%分は確実に勝てます。むやみやたらに取引を繰り返す必要もありません。しかし、資金が10万円となると話は別です。資金の1,000%分を増やす必要があるからです。もしこれが半年で実現させるということになれば、高いレバレッジで頻繁に勝たねばならないでしょう。1ヶ月で16万円以上、つまり資金の160%分を毎月積み上げていくことになります。
FXの取引の勝率については以前にお伝えしたとおりです。プロのトレーダーであっても勝率は5割に満たないのが現実です。10万円を半年で100万円にすることは決して無理なことではありませんが、無謀な挑戦といえるでしょう。無理なFXの取引は「リスク」を生みます。「リスク管理」の重要性についても以前にお伝えしましたが、FXで成功するために一番重要なのがこのリスク管理です。リスクを顧みない取引をしていると、10万円という資金は1ヶ月もしないうちに底を尽くことになります。つまり「ロスカット」されて、強制退場させられるのです。100万円を稼ぐことはおろか、資金の10万円すらも失ってしまいます。利益を得るのではなく、損失を膨らまして終了するわけです。
ですから、具体的な目標を決めるうえでも、資金は重要な要素を占めています。どのくらいの資金を準備できるのかを考慮しながら目標を決めていきましょう。これがFXの取引で確実に勝つための第一歩になります。
月利、年利はどのくらいが現実的か
書店に並んでいるFX関連の書籍や、インターネット上のFX関連のサイトには様々な情報が掲載されています。中には月の利益(月利)が100%以上という話もあるかもしれません。単純に倍になるわけです。しかしコンスタントに月利を100%にすることなど不可能に近いことです。もちろん1年間の中で1ヶ月だけそういう時があることはあります。大きな為替変動があってピッタリと当たった場合です。それも資金が少ない状況の話です。1億円の資金がある人が、毎月1億円の利益を出し続けるなど聞いたこともありません。同様の話で、FXで常に100%勝つ方法というものも存在しないと考えていいでしょう。ポイントは1年間というトータルで確実に勝つ方法を追及すべきであり、その額も現実的なものでなければなりません。
一つ例に挙げてみましょう。世界で最も大きく勝っている「ウォーレン・バフェット氏」の会社は月利どのくらいだと思いますか。月利100%が難しいとしても、月利80%くらいには届いているのではないか。そう考えるのはFXの初心者の証拠です。FXの取引を続けてきた人であるならば、コンスタントに月利80%を達成することの困難さがわかっています。
正解は2%弱です。月利でおよそ2%なのです。つまり10万円の資金が10万2千円になる計算です。これがコンスタントに勝つ人の月利目標といえます。もちろんこれは資金が多くあるために成り立つことです。100億円の資金があれば、月利2%で2億円の利益です。しかも月利2%を目標にしていますからリスクを回避し、勝つ確率が高い局面だけで勝負ができます。しっかりとリスクを管理しつつ、2億円の利益を出すことができるわけです。個人投資家の目標が月利2%だとすると、10万円の資金であれば1年間で(年利)2万4千円です。100万円の資金でも月利2%、年利24%だと24万円です。少し寂しいですね。1,000万円以上の資金があるのであれば、そのペースが最もお勧めになります。
目標としては「月利5%」くらいが現実的ではないでしょうか。実際にFXの取引をしてみると月利5%も簡単な話ではないことに気が付きます。月利5%をコンスタントに達成できるようになってから、月利10%を目指してみるのが無難です。
目標を達成するためにすべきことは何か
このようにして「資金はいくらなのか」「月利はどのくらいを目標にするのか」という具体的な数字が揃ってくると、「ではその目標を達成するためにはどのような取引が必要なのか」ということも少しずつ明確になってきます。少なくとも四六時中取引をする必要はないでしょう。為替相場が大きく変動するニューヨーク市場の時間に狙いをつけて、「ファンダメンタルズ分析」や「テクニカル分析」を駆使して利益を出していきます。中期間のトレードを見抜くことができれば、毎日勝つことができなくても、1ヶ月というスパンの中で利益を出すことは充分に可能です。目標を達成するための手法は経験と共にどんどん具体的になっていくはずです。「1日何回ぐらい取引をすればいいのか」「損切りはどのラインですべきなのか」「利益確定はどのラインですべきなのか」といった内容も目標設定の中に組み込まれていきます。
こうして「勝ち方」を習得すれば、高額の取引になっても自信を持って臨めるようになります。億という金額に到達することもできるのです。成功しているトレーダーは皆、「目標設定」を明確に行い、「勝ち方」を身に付けています。ぜひそんなトレーダーを目指して日々、努力を重ねていってください。