
メンタル管理が重要とされる理由
ネットや雑誌で「勝率100%の手法を公開!」という類の文字を目にする機会がありますが、トレードをする上で100%を求めてはいけません。それこそ出来る限り勝率100%に近づければ理想的ではありますが、この時に抱く「負けたくない」という意思や欲望とトレードを切り離す事が出来なければ、後々大きな代償として返ってくることは間違いないのです。潤沢な資金を持つ場合であれば、それこそ損失が出ても保有し続けたり、ナンピンをしたりすることによって勝率100%を目指せる可能性はありますが、資金が限られた個人投資家であればこうした方法を実行することが難しいといえます。ですので、予測した方向と反した動きをした場合は速やかに決済して、状況をリセットしなければならないのです。このとき、時間が経過する事で元の位置まで戻る、もしくはそれ以上になる可能性もありますが、エントリー前に予測したラインを越えたのであれば、そこで決済させるのがルールとなるのです。こうして文字にしてみるとあたかもその作業が簡単に出来るように思われますが、実際に感情移入した状態で同じ行動を取るのは難しいものがあります。そこには、「感情」をコントロールする必要性が存在するので、FXでは技術だけでなくメンタルも強化していかなければならないのです。
なぜメンタルが弱いのか?
メンタルを強化する為には、その原因となるものを把握しなければなりません。つまり「なぜメンタルが弱いのか?」といった部分を突き詰める必要がある、ということです。これについては、人間の心理を追求していく事で自ずと答えが導かれてきますが、人間というのは成功体験よりも失敗体験の方が記憶に刻まれるようになっております。例えばFXで大きな損失を出したとしましょう。この状況では、たとえそれまで利益が出ていたとしても、記憶の中では「大きな損失を出した」という失敗した記憶の方が鮮明に残ってしまいます。すると、その大きな損失を出した事がトラウマとなってしまい、次のトレードから、利益確定を早めてしまったり、トレード自体に恐怖心が出てしまったり、と「大きな損失を出した」という失敗体験の記憶が邪魔をして、一貫したトレードを行う事が出来なくなってしまうのです。このようにして失敗体験が積み重なることで、次第にメンタルが弱くなってしまい、その状態でトレードを行う事で更なる損失をまねいてしまうことになるのです。
デモトレードで勝てる要因
デモトレードとリアルトレードは別物となります。チャート機能や資金面においてはリアルトレードと相違はありませんが、そこで大きく異なるのが「メンタル」になります。リアルトレードでは実際に運用する自らの資金が増減するのに対して、デモトレードは資金の増減こそするものの、それは自らの資金ではなく架空の資金になるのです。この「架空の金額」がリアル感を失わせており、デモトレードをゲーム感覚へとしてしまうので、リアルトレードで「メンタル」をコントロールすることが出来ずに損失を出してしまうのです。つまり、デモトレードで利益を上げる事ができたとしても、同じことをリアルトレードでできるか、という部分についてはまた別の話しになるということです。デモトレードではトレード技術や手法を確立する事は出来ますが、メンタルを強化することは難しいです。デモトレードと同じようにリアルトレードも「平常心」で行う事が出来れば問題ありませんが、多くの場合その限りではないので、デモトレードでは勝つ事が出来てもリアルトレードでは勝つ事ができない、という一見相反するような事象が起きてしまうのです。その為、デモトレードだとしてもリアルトレードと同じメンタリティーでトレードすることが重要となってくるのです。
メンタル強化する為の具体策
メンタルを強化することはFXだけに繋がるのではありません。それこそ仕事やスポーツ、プライベートにまで影響を与えるので、FXの為にメンタルを強化するとしても他の分野にまで役に立つ事があるのです。その結果として、人格や人生にまで大きな影響を与えるので、そういった意味でも「メンタルの強化」は必要不可欠となるのです。しかし、メンタル強化といっても具体的な方法が瞬時に思いつかない人も多いです。そこで、筋肉トレーニングを強化して頂きたいのですが、筋肉を強化・発達させる為には体に「負荷」をかけていることが分かります。筋肉トレーニングだけでなく、スポーツや勉強においても同じですが、何かを強化・発達させる為には体に負荷をかけることによって成長を促しているはずです。これと同様に、メンタル強化の為には「精神的な負荷」をかける必要性があり、その連続によって少しずつメンタルが強化されていくことになるのです。
「精神的な負荷」と聞くと難しそうに感じますが、そこまで難しいものではなく、日常生活でもできる範囲になります。例えば、物事を先延ばしにするのをやめたり、我慢をしたり、計画的に進めたり、と「面倒」とか「楽をしたい」という気持ちを断ち、自分への負担が少ない方向に逃げるのを辞めるだけでも精神的な負荷が掛るのでトレーニングになるのです。こうした比較的負担の少ない事から始めて、徐々にメンタルを強くする事が、FXだけでなくその他の分野でも大きな役に立つことになるのです。しかし、短期的なメンタルトレーニングでは得られる効果も薄くなり、すぐに元のメンタルへと戻ってしまうので、メンタルトレーニングの際は長期的な視点を持ってトレーニングに取り組むようにして下さい。
メンタル管理が出来ないと起こる弊害
FXで勝つ為には技術や手法だけでなく、それらを管理するメンタルも重要になってきます。勝率が高い手法を持ち合わせたとしても、その手法を実行するメンタリティーが無ければ成り立ちません。トレードする際には、ある程度の利益と損失の位置を定めて取引をしますが、その位置まで「待つ」ことが出来なければプラン通りのトレードを行う事ができないのです。このようにメンタルが未熟であれば、「損切りが出来ない」、「利益確定を早めてしまう」、「トレードが怖い」といった事が生じるので、プラン通りにトレードができなくなってしまうので、勝率が高い手法を持ち合わせていても勝つ事が出来ない、という結果をまねいてしまうのです。プラン通りに実行する、という事が出来なければその手法の有効性も分からず、トレードの分析を行う事もできません。
損失を出した際に「ルール」を決める人は少なくないですが、殆どの場合そのルールを守る事ができておらず、同じ事を繰り返してしまいます。根本的な原因は、ルールを守る事が出来ないメンタリティーにあるのですが、その部分を無視してトレード手法や技術の改善ばかりに気をとられてしまうので、いつまで経ってもトレードが上達しないのです。このようにメンタルコントロールが出来ないと感情的なトレードをしてしまい、ロットサイズや利益幅、損切り設定、といった部分を度外視することになりかねないので、ロスカットの時間を自ら早めてしまう結果に繋がってしまいます。本来の目的とは程遠い結果にならない為にも、メンタルを強化することが必要不可欠といえるのではないでしょうか。