アルーンとはどんなインジケーターか

今回はアルーンの使い方について紹介していこうと思います。アルーンという指標の概要について説明して、実践的な使い方、注意点まで書いていきます。この記事を読めば、アルーンの基本的な知識や使い方というのが身に付きくでしょう。

アルーンはFXのテクニカル指標のひとつです。移動平均線や一目均衡表などメジャーな指標と違い、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。アルーンではアルーンアップとアルーンダウンという2本のラインによってトレンド相場を見極めることができます。トレンドの方向や勢い、さらに売買ポイントまでアルーンひとつで分かってしまう便利な指標です。

アルーンとはどんなインジケーターか

アルーンの正式名称はアルーン・インディケーターの略称です。アルーン・インディケーターはトゥーシャー・シャンデ氏が開発したトレンド系のテクニカル指標です。アルーンアップとアルーンダウンの2本のラインによって、トレンドの有無やトレンドの転換点を見極めるのに役立ちます。それぞれ2本のラインについて、計算式を見ながらチャートで確認してみましょう。

1アルーンアップ=n期間-過去n期間の最高値からの経過日数÷n期間×100%
2アルーンダウン=n期間-過去n期間の最安値からの経過日数÷n期間×100%

アルーンとはどんなインジケーターか

チャートにはアルーンを表示させています。みなさんお馴染みのローソク足の下にある2本のラインがアルーン・インディケーターです。アルーンアップが赤色のライン、アルーンダウンが黄色のラインです。それぞれのラインは全ての期間で0~100の間で推移していることがわかります。この2本のラインの関係でトレンドの性質を判断することができます。

アルーンを使ってトレンド相場を見極める

それではどうやってトレンド相場の性質を見極めればよいのでしょうか。まずは2本のラインの位置関係に注目してください。再びチャートを見ていきます。チャートはドル円の日足ですが、途中まで上昇トレンドが発生しており、その後下降トレンドに転換していることがわかります。

アルーンを使ってトレンド相場を見極める

上昇トレンドが発生している局面では赤色のアルーンアップが黄色のアルーンダウンの上に位置していることがわかります。その後、下降トレンドへ転換してしばらくすると、上下の関係が入れ替わり、今度は黄色のアルーンダウンの方が上に位置していることが分かります。アルーンアップがアルーンダウンの上にあり、70~100の間で推移していれば上昇トレンド、アルーンダウンがアルーンアップの上にあり、70~100の間で推移していれば下降トレンドが継続していると判断することができます。

アルーンを使ってトレンドの発生や転換を判断

さらにアルーンを使うと、トレンドの発生やトレンドの転換を判断することもできます。トレンドの発生はアルーンアップが100になったとき、あるいはアルーンダウンが100になったときです。先ほどのチャート緑色で丸く囲った箇所がトレンドの発生点です。さらに上昇トレンド⇒下降トレンドへの転換点はアルーンアップがアルーンダウンを上から下に突き抜けるときです。チャートでは緑色の矢印で囲っています。

アルーンを使ってエントリーポイントを見極める

それではここからアルーンの実践的な使い方を考えていきます。先ほど説明したようにトレンドの判断ができればいよいよエントリーです。アルーンを使うときのエントリーポイントは2種類です。1つはアルーンアップが100あるいはアルーンダウンが100に達したとき、つまりトレンドの発生時です。もう1つはアルーンアップとアルーンダウンが交差するトレンドの転換時です。

先ほど見たチャートでは上昇トレンド⇒下降トレンドへ転換しており、一貫してトレンド相場が続いていました。その場合はアルーンダウンが100に到達しなくても、2本のラインが交差するトレンドの転換点がエントリーポイントになります。一方で、トレンドが発生していないレンジ相場からトレンド相場に移行したときのエントリーポイントはアルーンアップやアルーンダウンが100に到達した地点、つまりトレンドの発生時です。このようにエントリーする前の相場の状況によってエントリーポイントが変わってくるので相場の流れに注意してエントリーするようにしてください。

アルーンを使ってイグジットポイントを見極める

エントリーが終了したら次に考えなければならないのがイグジット(決済)です。先ほどアルーンを使ってエントリーする場合を2種類紹介しましたが、いずれもトレンド発生時のエントリーになります。そのため、トレンドの終了時がイグジットのポイントです。先ほどのトレンド継続の条件を思い出してください。アルーンアップ、アルーンアップそれぞれ70~100の間で推移していればトレンドが継続していると判断できると紹介しました。

それで考えると、アルーンアップ、アルーンダウンが70を割ってくると、トレンドが終了することを意味します。上昇トレンドであればアルーンアップが、下降トレンドであればアルーンダウンが、それぞれ70を割ればイグジットしましょう。

アルーンを使ってイグジットポイントを見極める

上の画像は先ほどと同じチャートです。アルーンの値が70を下回ったイグジットポイントはピンク色の丸印2カ所です。左側はアルーンアップが70を割ったところ、右側はアルーンダウンが70を割ったところです。それぞれ上昇トレンドの終了、下降トレンドの終了を意味します。このチャートのケースでは両方で利益が出たことになります。

もちろんFXの取引では予想通りに動く場合ばかりではありません。アルーンアップやアルーンダウンからエントリーのサインが出たのを見てエントリーしたとしても、予想と反対方向に動く場合もあります。その場合は損切りを行うことになります。

レバレッジをきかせるFXでは損切りを行わなければ大きな損失を出してしまうことも珍しくありません。損切りは徹底を心掛けるようにしてください。損切りに関しても利益確定時と同様にアルーンアップやアルーンダウンが70を下回ったときを基準に行うようにします。

アルーンを使っての実際の取引

ここまでアルーンとはどんなテクニカル指標なのか、そしてどのように使えばいいのかを見てきました。アルーンについて大体のことはお分かりいただけたと思います。最後にアルーンの使い方についてまとめと注意点を書いておきたいと思います。

1アルーンアップの値が100に達すれば上昇トレンドの発生(買いでエントリー)
2アルーンダウンの値が100に達すれば下降トレンドの発生(売りでエントリー)
3アルーンアップが70~100の間で推移していれば上昇トレンドの継続
4 アルーンダウンが70~100の間で推移していれば下降トレンドの継続
5アルーンアップがアルーンダウンを下から上に抜ければ下降トレンド⇒上昇トレンド(買いでエントリー)
6アルーンダウンがアルーンアップを下から上に抜ければ上昇トレンド⇒下降トレンド(売りでエントリー)
7エントリー後、アルーンアップが70を下回れば売りでイグジット
8エントリー後、アルーンダウンが70を下回れば買いでイグジット

以上が今回の重要ポイントです。これらを踏まえた上で実際の取引をしてみましょう。アルーンの使い方自体はシンプルで、一度身に付けてしまえばスムーズな取引が可能です。しかし、エントリーサインが出ていても、予想通りに値動きしないダマシが厄介な存在です。そのため、エントリーサインが出ていても全てエントリーせずに、予想通りに値動きする可能性が高いときのみエントリーするなどの工夫が必要となってくるでしょう。そのあたりの状況判断は実践の中で自分なりの基準を見つけていくことになります。場合によっては移動平均線などトレンド系の指標との併用も必要になってくるでしょう。そのあたりの判断は個人の裁量に任されることになり、そこがトータルで勝てるかどうかの命運を握っていると言えます。