
誰でも勝てるのがFX、しかし勝てないのもFX
何か物事を始める際に気になるのがその“リスク”です。リターンばかりに目を奪われてしまい、リスクを怠ってしまえば、「やる分だけ無駄」になってしまうので、多くの場合リスクに注目が集まるようになっています。FXにおいても興味のある人や初心者であれば、リスクや失敗談が気になり、自分が実際に取引したら「どれだけの損失を被る可能性があるのか」が気になるかと思います。この時、利益と損失を天秤にかけて「利益」の方が大きいと判断すれば取引始めることになり、「損失」の方が大きいと判断すれば取引を見送ることになるでしょう。
ただ、FXでは損失に関しても注目が集まりますが、それ以上に利益に関しても注目が集まります。よく「たった5分で10万円」、「毎日が給料日」、「誰でもサラリーマンの給料以上稼げる」なんて文言を目にした事はありませんか?このような謳い文句は確かに現実としてあり得ます。なぜなら、FXはサラリーマン、学生、主婦、フリーターなどの個人投資家でも短期間で利益を生み出す事が可能となるからです。しかし、この部分が「FXの魅力でもあり一番恐ろしい部分でもある」ということを覚えておかなければなりません。
ビギナーズラックがもたらす恐怖
あなたは“ビギナーズラック”という言葉を御存知でしょうか。これは、簡単に説明すれば「運によって勝つ事が出来ている」という意味合いになります。先程の「たった5分で10万円」、「毎日が給料日」、「誰でもサラリーマンの給料以上稼げる」といった、“あたかもFXが簡単”であるかのような謳い文句が成立するのも、このビギナーズラックが関係しているのです。FXの初心者であれば、取引を始めてすぐの頃、ファンダメンタルズやテクニカル分析についての理解が乏しく、チャートの動きや値ごろ感だけで判断している場合が多いです。「下げ過ぎているからそろそろ上がるだろう」、「急激に上げてもまたすぐ下がるだろう」といった形で予測して、逆張りエントリーを仕掛け、そして奇跡的にその方向へ動く。FXを経験している人からすれば値動きの激しい局面や優位性が無い場面でのエントリーを控えますが、FX初心者だからこそこのようにエントリーができるのであり、“勘”が当たれば大きく勝つ事ができるのです。
FXでは、知識や経験が無い人でも“勘”が当たれば勝つことはできるので“FX=簡単”という謳い文句が成立してしまうのであり、この謳い文句を鵜呑みにしてしまう人がまた相場へ参入する事になっているのです。しかし、FXはそこまで簡単な物ではありません。初心者でも勝つ事ができるのがFXの魅力ではありますが、それはビギナーズラックにすぎないので、時間が経つにつれてやがて勝つ事が出来なくなってしまうのです。これは、FXを経験していく事で、ファンダメンタルズやテクニカル分析、メンタルコントロール、リスク管理、など様々な知識を得ていくことにあります。一見すると、知識が豊富な事によって勝つ事ができると思われますが、FXにおいては「知識が多ければ勝てる」というわけでもないのです。反対に、豊富な知識を有しているからこそFXで勝てない場合さえあるのです。
FXは知識があるからといって勝つことはできない
FX初心者がビギナーズラックで勝てるのは、“勘”に依存している部分が大きいからです。初心者から中級者、そして上級者へ段階が上がるにつれ、知識や経験も豊富になってきますが、こうした部分がエントリーに“迷い”を生じさせるようになってしまいます。初心者であれば、何も考える事がなく「値ごろ感」や「勘」で取引する場合が多く、奇跡的にエントリーした方向へ動く場合があり、それに“損切り”をすることも少ないので損失を抱えたとしても、最終的に利益で決済することがあるかと思います。
しかし、知識や経験が増える事で、「値ごろ感」や「勘」でのエントリーがいかに“危険を伴うのか”ということを理解するようになるので、自分のトレード手法について見直しするようになるのです。FXを始めた当初には無かった知識や経験が増えた分、“情報量”という部分がトレードや管理方法に迷いを生じさせてしまうので、それまでビギナーズラックで勝つ事ができていた頃とは一転して損失を重ねるようになってしまうことなってしまうのです。従って、FXの知識が豊富になったからといって勝てるようにはならず、逆に“負け始める”という事が起こるのです。
“迷い”という大きな壁が損失をまねく
FXの経験が多くなる事で“迷い”が生じることになります。その中でも特に“テクニカル分析”が多くのトレーダーにとって混乱をまねく原因になっているといえるでしょう。これは初心者の頃であれば、チャートを見ているだけで満足することが多かったのが、時間が経つにつれてチャートを勉強していくことになるので、その選択肢の多さが混乱をまねいてしまうからです。まず一口に「テクニカル分析」といっても“トレンド系”と“オシレーター系”があります。トレンド系とは、その名の通り相場にトレンドが発生しているのか、レンジなのか、ということを明確にするものであり、代表的なのは移動平均線、MACD、一目均衡表、ボリンジャーバンドなどがあります。オシレーター系とは、現在の価格が直近の相場に対して買われ過ぎているのか、売られ過ぎているのか、を明確にするものであり、代表的なものはストキャスティクス、RSI、RCIなどがあります。今回は代表的なものだけをピックアップしましたが、他にもたくさんのインディケーターが存在しており、その組み合わせを変えると更に選択肢が増えることになります。その“選択肢の多さ”が混乱をまねいてしまうことに繋がり、これまでFXで勝つ事が出来ていた人でも、知識や経験が増える事で”負け始める”ということになってしまうのです。
FXで勝つにはシンプルに考える必要がある
経験を重ねることによって初心者の頃には無かった“迷い”が生じてしまい、急に負け始めることになってしまいます。しかし、価格が変動する要因は需要と供給のバランス、いわば“多数決”にあるので、相場参加者と目線を合わせなければいけないのです。ひとりよがりの目線やエントリーでは、それは少数派に属するので、相場は反対方向へ動いてしまい損失を出してしまいます。例えば、自分の目線では「買い」という判断になり、その方向へエントリーしたとしても、相場参加者の目線からは「売り」であった場合、自分の予想とは反した動きをしてしまいます。つまり、FXでは“大多数の意見を重視する”ということが大切になってくるのです。
多くの人は、FXの経験を積む事で様々なインディケーターに手を出す事になるかと思いますが、そこで注意しなければならないのが、「自分ひとりだけの目線や考え方になっていないか」という部分です。相場を動かしているのはあくまでも相場参加者であり、多数決になります。自分の目線や考え方を重視するのもいいのですが、あくまでも“大多数の意見”を大切にして下さい。時として自分の考え方を捨てて相場についていくことが勝つためには必要となるので、こうした部分を理解した上でのトレード手法を確立して下さい。