FX為替市場の参加者・投機筋と投資マネーについての解説

FXの為替相場に参加する「投機筋」とは誰のことか?

FX為替市場の参加者・投機筋と投資マネーについての解説 為替取引は「実需の為替」と「投機の為替」に大きく分類されますが、投機取引である「FX(外国為替証拠金取引)」には為替差益やヘッジファンドの高額報酬を狙った投機筋が大量に流入してきます。投機筋と聞くと最低でも数億円以上(数百万ドル以上)の投資資金を持ったヘッジファンドが、為替市場を揺り動かす大きなギャンブルをしているイメージがありますが、実際は「FXをしている個人投資家(個人投資家の集団)」も投機筋の一角を占めています。「塵も積もれば山となる」で、個人投資家の集団も為替相場を変動させる影響力を持っているからです。

ヘッジファンドの為替ディーラーやFXのデイトレーダーのように、1日(数時間)のうちに売買を繰り返して短期的な利益を出そうとするプレイヤーは、どんなに長くても数ヶ月から1年以内までには売買のポジションを「反対売買(利益確定・損切り)」で解消してしまいます。一方、同じ投機筋でも日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や大企業の年金運用機関は、いったん外貨や株式を保有したら短期では決済せず、相場状況によっては数年以上もポジションを保持します。そのため、世界最大の機関投資家と呼ばれるGPIF(リスク投資の運用資産130兆円以上)や海外の国・企業の社会保障基金運用機関は、実質的には「実需筋」に近い「ポジションの積み重ねの影響力(外貨の含み益・含み損を決済せずポジションを維持している影響)」を持っています。

毎日の為替相場の取引高では「短期投資・超短期投資(デイトレード・スイングトレード・スキャルピング)」の金額が大きいのですが、短期投資はポジションをすぐに解消して新たな為替取引に移るので、中長期の為替相場への影響はむしろ「実需筋(貿易・投資をする企業)・年金運用機関(巨額資金を簡単には動かさない機関)」のほうが大きいとされているのです。

FXの為替市場に参加してくる個人投資家・機関投資家と投資マネーの出所

FX投資を行っている為替市場には、様々な思惑や利害関係を持ったプレイヤーが参加しています。為替市場の参加者や為替市場に流入してくる投資マネーを分かりやすく分類してみます。「実需筋」とは、貿易を行っている企業で、輸出の売上金として獲得した外貨を自国通貨に変えています。あるいは、輸入する製品を購入するために必要な外貨を自国通貨で買うこともあります。海外で事業・投資を行う企業も、外貨を自国通貨で買っています。

「ヘッジファンド」とは、顧客から資金を集めてその資金にレバレッジ(倍率)をかけ、巨額の投資マネーを投資している機関投資家のことです。「ソブリンファンド」は中東産油国(ドバイ・UAE)や中国の政府系ファンドが有名ですが、政府が出資している巨大ファンドのことです。ヘッジファンドよりも手堅く長期的視点で投資してくる「リアルマネー(年金・保険・投信)」と呼ばれる機関投資家もいます。具体的には、銀行・保険会社・証券会社・政府系機関などがリアルマネーになります。

「オプション」とは、先物取引やバイナリーオプションなどの「特定の投資条件・未来のある時点での売買契約(価格設定)」を行っているオプション取引の投資マネーのことです。株式・FXなどに個人として投資している「個人投資家」も近年は急速にその人数と資金量を増やして為替市場に一定の影響を及ぼしています。FXの為替市場では「投機筋(為替差益そのものが目的)」と「実需筋(貿易・投資・商取引のために外貨が必要)」が相互に影響を与え合うことで、市場の流動性を高めて「各通貨の市場価格」が決められているのです。

為替市場の“約9割”を占める投機取引

現状では、外為市場の参加者の“約8割”が投機筋、外為市場で行われている取引金額の“約9割”が投機の為替になっています。実需筋の参加者は“約2割”、為替取引の金額では実需の為替は“約1割”と聞くととても少なく感じます。しかし、実需取引は「売買のポジションを長期維持する・ポジションが積み重なる・投機取引がファンダメンタル分析の情報として参考にする」という特徴があるので、外為市場の参加者・取引高に占める比率は少なくても為替レートに与える影響は大きくなります。

FXの個人投資家は為替差益やスワップ金利を得るために投資を行っていますが、為替取引を行う動機づけは大きく「需要・リスクヘッジ・リスクテイク」に分けることができます。「需要(実需)」は実需の為替と同じ意味で、実際に外貨を使用する必要性があって為替取引を行うものです。海外旅行では、外国の通貨と交換して様々な商品やサービスを購入する実需が生まれます。外国に住む親族にお金を送金したい時にも、外国の通貨を為替取引で手に入れて海外送金する実需があります。企業の貿易でも、外国に製品を輸出して得た売上金の外貨を自国通貨に交換したり、外国から原材料・製品を輸入するために自国通貨を外貨に交換したりすることになります。企業間のM&A(企業の合併・買収)や海外の株・債権・事業への投資も、自国通貨を外貨に交換する必要のある「需要」の為替に分類されます。

FX・外国為替取引を行う動機づけとしての「リスクヘッジ・リスクテイク」

「リスクヘッジ」とは、為替取引を効果的に行うことでリスク(危険)を回避したり軽減したりすることです。為替市場でいうリスクとは、「為替差損による損失の発生」になります。企業が貿易で輸出をする時、販売した製品の代金は「約3~4ヶ月先」に外貨(主に米ドル)で振り込まれることが多いのですが、代金支払いまでの3~4ヶ月の間に為替相場は休むことなく動いています。そのため、「円高ドル安」に振れると企業は為替差損で利益を減らしますが、これも代表的な「為替リスク」です。

仮に自動車会社で1億ドルの売上金があったとして、ドル円相場が1ドル=120円(120億円)から1ドル=110円(110億円)まで円高が進むと、10億円もの為替差損が発生します。為替リスクをヘッジ(回避)するために輸出企業は「外貨の先物取引(初めに外貨を今の為替価格で売却する)」をして、事前に「円換算の金額」を確定しています。貿易・資本取引では、リスクヘッジの為替取引によって、外貨建ての債権・債務の価格を事前に確定することが広く行われています。リスクテイクとは、リスクを受け入れて利益を追求する取引のことで、為替取引では「外貨預金・FX(投機の為替)」になります。

リスクテイクの取引である外貨預金とFXの違い

FXの少額投資は初心者でも安心して稼ぎ続けることができる外貨預金のメリットは、日本円の普通預金・定期預金よりも「金利の高い外貨」で預金ができるということに集約されます。日本円だと普通預金はほぼゼロ金利で、定期預金に1年以上預けても0.01~0.3%程度しか金利は付きません。2018年3月現在、外貨預金(1年もの定期)であれば、高金利通貨である豪ドルなら1.50%、南アランドなら5.15%もの金利を得ることができます。しかし外貨預金はFXと同様に為替レート変動によって「為替差損益」が発生するので、「円高」になれば為替差損で損失を出すリスクはあります。外貨預金とFXの大きな違いとして、「手数料のスプレッド(買値と売値の差)」が外貨預金の方が何十倍も大きく(外貨預金は1ドル0.2~1円以上のスプレッドだが、FXは1ドル0.3銭以上でコストが安い)、よほど円安にならないと利益が出にくいということがあります。銀行で取引する外貨預金は、「営業時間・売買方法・換金時期・中途解約・金利・レバレッジ」の側面で、FXより格段に劣っています。

営業時間は、外貨預金は銀行の営業時間内(9~15時)しか取引できませんが、FXは24時間いつでも取引できます。売買方法も、外貨預金は「買い・ロング」の取引しかできないので、円安でしか利益は出せません。FXは「買い・ロング」と「売り・ショート」の取引ができ、円安でも円高でも利益を出せる可能性があります。換金時期も、外貨預金の定期は満期日にしか換金できませんが、FXならいつでも好きな通貨に交換可能です。外貨預金の定期は基本的に中途解約が不可能で、普通預金はスプレッド(手数料)が高くなります。外貨預金は外貨の金利から手数料を引かれますが、FXなら金利差がプラスになればスワップポイントが毎日もらえるメリットもあります。外貨預金はレバレッジを効かせられませんが、FXは「最大25倍(近く金融規制で最大10倍に縮小予定ですが)」までレバレッジを効かせられます。

FXと外貨預金を比較した場合、客観的に見て外貨預金の方が優れている部分は全くないと言っていいほどです。外貨預金(定期)の唯一のメリットは「外為投資について何も考えなくて良い(どうせ満期まで解約できないので為替レートも確認しなくて良い)」ということですが、これは運任せの怠惰なリスクテイクをしているだけで損失を出す恐れも高くなります。「為替変動リスク」は外貨預金もFXも同じですから、どうせ外貨に投資するのであれば自分自身でリスクをコントロールしやすく利益も出しやすいFXを選ぶべきという結論になります。